膝蓋骨脱臼のリハビリ|発生要因や術後復帰までの期間、リハビリの注意点を紹介
こんにちは、しんめいです。
私は普段理学療法士として勤務しています。
当院では時々膝蓋骨脱臼により受診しリハビリをされる方がいらっしゃるんですが、今回は、膝蓋骨脱臼のメカニズムや解剖学的なお話をしてみようと思います。
膝蓋骨脱臼の要因と危険因子
膝蓋骨脱臼の原因は主にKnee-in/Toe-outですね。また、膝伸展位での回旋動作で膝蓋骨が抜けてしまったと来院される方も多い印象です。
なりやすいとされている要因は上図の通りです。
関節弛緩性については、東大式関節弛緩性テストというものがあり、下の項目のうち4つが当てはまると関節がゆるいと判断されます。
好発年齢と再発率
好発年齢は中~高校生に多いとされています。
また再発率が多いのも特徴で、一度脱臼が生じると膝蓋骨の形状が変わってしまい、再発が起きやすくなります。
当院では再発してしまった方が手術になることが多いですね。
膝蓋骨の内側支持機構
内側の支持機構には4つ挙げられます。
そのうち、最も支持に寄与しているのが内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)です。
図の下表では、全ての膝関節角度でMPFLが最も貢献していることが示されています。
膝関節の標本を用いた実験では、
- MPFLとMR(内側膝蓋支帯)を切離したときに膝蓋骨の移動量が最も大きい
- 膝屈曲20~90度で移動量が増加
- 120度の深屈曲では移動量が変わらなかった。
ことが明らかになっています。
MPFLの解剖学
特徴的なのが
- MPFLは部分的に内側広筋(VM)と付着している。
- 膝関節が90度以上屈曲すると、膝蓋骨は大腿骨膝蓋溝にはまり込むため、安定する。
ことが挙げられます。
そのため後述しますが
- リハビリでは内側広筋のトレーニングが最重要
- 膝関節が軽めの屈曲位の時に、リスクが高いため注意が必要
と考えられます。
膝蓋骨脱臼時の画像の見かた
膝蓋骨脱臼に対する一般的な手術法と復帰までの期間
手術方法でメジャーなのがハムストリングスを使用した再建術です。
図のように膝蓋骨と大腿骨に穴をあけ、ハムストリングスで作った腱を通し結びます。
一般的なリハビリプロトコルは
- 術後初期はニーブレイスを装着し免荷
- 次第に可動域訓練,部分荷重を開始し,全荷重歩行を許可
- 術後3カ月よりジョギングを開始
- 術後6カ月よりスポーツ活動への復帰を許可
というのが多いようです。
リハビリの注意点
ただ、上のプロトコル通りに進まないことが多いです。。。私の実力が足りないからかもしれませんが。
理由として
- 数週間の免荷で、筋力低下が著しい
- 内側広筋を手術で切っているため、なかなか収縮が伴わない
- 元々筋力がつきづらい?人が多い印象がある
- 膝蓋骨脱臼をした人は、別の怪我も過去にしていることが多く、全身のマネジメントが必要(9割5分の確率で捻挫してない?)
などなど。
数か月リハビリを進めて、いざジャンプやストップ動作をすると不良姿勢が顕著に表れ、修正が困難を極めます。
再発しないように慎重に進めると、結果半年以上かかることが多いですね。。。涙
現在、私が心掛けている工夫としては
- Patella settingを滅茶苦茶やる(工夫じゃないね)
- 初期の荷重位でのトレーニングは、安全のために深めの屈曲位を多めに取り入れる。(解剖学参照)
- 動作指導も深めの屈曲位でコントロールできるよう指導する(これができない)
- 術後初期のほとんど動けない時期に、他関節のトレーニングを多く行う。
- 柔らかいところと硬いところの差が激しいので、硬いところは入念にマッサージとストレッチをしてもらう。(例えば胸郭や大腿外側など)
でしょうか。
細かい点は、上手く記事に書けません笑
だれか良い介入があれば教えてほしいです。
再建術と縫合術の術後成績の比較
ちなみにですが、膝蓋骨脱臼に対して縫合術をやることがあるのですが、2年以上のフォローの結果では有意差は無いようです。
まとめ
今回は、膝蓋骨脱臼に関してまとめたことをお伝えしてみました。
肝心のリハビリに関しては、調べても具体的なメニューなどはあまり出てきませんよね。科学的根拠にも乏しいのが現状だと思います。
結論としては、
膝蓋骨脱臼術後のリハビリめっちゃ難しいので誰か教えてください!!!
以上です。
ではまた。