上殿皮神経による腰痛が意外と多い
こんにちは、しんめいです。
私は普段理学療法士として仕事をしています。
現在、日本人の4.5人に1人が腰痛を抱えているそうです。
腰痛の85%が原因不明の非特異的腰痛といわれていますが、なかなか改善が得られない方も多いのではないでしょうか。
今回、近年関与が注目されている上殿皮神経についてお話ししていきます。
上殿皮神経とは
上殿皮神経は、殿部後方あたりの感覚神経です。
胸腰筋膜から神経が出ているので、筋膜の緊張が高いと容易に神経が絞扼されてしまうことは想像できますね。
上殿皮神経による腰痛は14%ほど存在しており、また、腰痛だけでなく約半分もの方が下肢痛も自覚しているそうです。へ~そんなに。
間欠性跛行があるため腰部脊柱管狭窄症と診断されている方の中にも、もしかしたら皮神経が原因となっている可能性もあるかもしれません。
ちなみに、なぜ下肢痛も出るのかというと、上殿皮神経の神経根がL4,5からも出ているからと考えられます。
上殿皮神経の鑑別方法は?
疼痛の領域を把握することと、圧痛をしっかり確認することでおおよそ判断できるようです。
徒手的に皮膚を寄せたり、引っ張ったりして症状の変化を確認できれば、更に確実と思われます。
なぜ上殿皮神経の症状が出現するのか?
以前は、osteofibrous tunnelという部位で絞扼されるのが原因と考えられていたそうですが、絞扼例が意外と少なくそれが主要因ではなさそうです。
脊柱筋の筋緊張や、皮下組織の滑走不全が影響しているとの意見もあります。
皮下組織の滑走不全に対しては林先生が治療方法を述べられていたので紹介しておきます。(林、下肢における超音波機能解剖と最近の知見 ~運動器超音波時代の幕開け~、2017.)
大殿筋の収縮を利用した皮下脂肪性結合組織のリリース
殿部の皮膚をセラピストの手掌で固定したまま、股関節伸展の自動介助運動を行い、大殿筋膜と皮下組織との間をリリースする。
大殿筋の伸張を利用した皮下脂肪性結合組織のリリース
殿部の皮膚をセラピストの手掌で固定したまま、股関節屈曲運動を行ない、大殿筋膜と皮下組織との間をリリースする。
まとめ
私の経験上では、この部位が原因ではないかなと思う患者さんが時々来院されます。
神経性の疼痛だからか、筋筋膜性腰痛よりは痛みを重く訴える印象がありますね。なかなか私の治療技術だと一回で治してあげられないのが残念ですが。。
上殿皮神経に関する腰痛をまとめると
- 上殿皮神経は腸骨稜付近で教養筋膜を貫通して殿部へ至る感覚神経
- 全腰痛の14%を占める
- 疼痛領域を把握し、圧痛を確認する。更に皮膚を引っ張って再評価したときに疼痛増強があるか確認する
- 脊柱起立筋の筋緊張を落としたり、皮膚滑走性を向上させることで症状の改善が期待できる
以上です。
ではまた。